立派な駅舎もありますし、線路も問題ありません。でも電車は来ません。ここは常磐線の「原ノ町駅」です。 平成23年3月11日までは上野発の「スーパーひたち」に乗れば3時間余りで来られたのですが、今はスーパーひたちは「いわき」止まりとなっています。
ご存知の方も多いと思いますが、常磐線は東日本大震災の影響が続き、27年1月現在、上野~竜田間での運転となっています。竜田~原ノ町には福島原発もありますので、この地域は立ち入り禁止なのです。 竜田以北の方達は一体どうしておられるのでしょうか?
さて原ノ町駅ですが、上野からの常磐線では行けませんが陸の孤島ではないので、いくつかのルートを使えば行くことはできます。
(1)一つは福島まで行って、バスで行く方法。
(2)もう一つは遠回りして仙台方面から常磐線の上り電車を使って行く方法です。
今回は(2)の方法で行ってきました。
ルートとしては福島~岩沼~亘理(わたり)~(ここから先も不通なのでJRの代行バス)~相馬~原ノ町というルートです。
東京を昼に出て、夕方に原ノ町駅を降りましたが、市内は平穏そのものでした。お店も開いてますし、車も普通に走っていました。今でもご不便は色々あるのでしょうが、日常生活は車で足りるのと、電車の代わりの代行バスが電車の時刻に合わせて早朝から深夜まで運行しているからでしょう。
でも、いわき~水戸~上野方面の上り電車が全く使えないのは実に不便だと思います。
原ノ町~相馬の4駅間だけは運行しています。 相馬~浜吉田の間の駅は津波で流されてしまい、2年後(2016年)を目標に線路・駅舎を高架にした工事を行っています。(線路は今までよりずっと内陸側に敷いていました。)
原ノ町駅の駅舎は立派でした。駅舎の近くまで津波は来たようでしたが、かろうじて助かったようです。
隣にホームに「スーパーひたち」が止まっていますが、震災以来動けず、ここに停車したままなのだと思います。
代行バスに乗り換えの亘理(わたり)駅は「お城の駅」でした。それもそのはず「東北の駅百選」に選ばれた名駅だそうです。今回、代行バスに乗り換えるので改札を出てから駅舎をみて驚きました。
普段ならここの駅で降りる機会はまず無く、気づかなかったと思います。
志津川駅は宮城県三陸町の海岸から400~500mの海岸沿いにありました。そのため東日本大震災の津波で駅舎も線路も跡かたもなく流されてしまいました。地形上の問題もあり、線路を敷き直すことは断念され今は柳津(やないづ)~気仙沼の間はBRT(※)で運行されています。
※BRT(bus rapid transit)とは、バスを基盤とした大量輸送システムのことです。
駅舎も線路も津波で流されてしまいました。コンクリートのホームと地下通路だけが残りました。
有名な志津川町の防災対策庁舎です。海岸から300mほどの所、海岸と志津川駅の真ん中辺りにありますが鉄骨の柱・梁以外は跡かたなく流されました。
東日本大震災から4年が経とうとしています。
復興は進んではいるものの、東北地方は決して以前と同じ状態には戻っていませんし、未だ先は見えない所もあります。現実、現状を見ることは大切なことだと思います。
(注)志津川の写真は平成24年撮影のものです。
<藤田 徹>