6月にPIASで米国サンフランシスコに行ってきました。
PIASとは、Pacific Insurance Agents Seminar(太平洋保険学校)
の略称です。
日本損害保険代理業協会が主催する海外研修で、米国西海岸に赴き、米国の損害保険事情を学びます。
普段はあまり意識することがない米国の保険事情。
今回はそのPIASの研修についてお話したいと思います。
今回36回目を迎えるPIASは、6月2日(金)~6月9日(金)の8日間の日程で行われました。
参加者は、日本全国から集まった保険代理店と保険会社社員等の総勢14名。
開催地の米国サンフランシスコに向けて一同出発しました。
研修初日は、保険ブローカー「 ANDREINI 」のヴァイスプレジデント(CPCU)が講師となり、「米国損害保険の募集の現状と米国における新規市場開拓手法」をテーマに、丸一日座学で講義を受けました。 ここでは、米国経済の動向から米国保険市場の開拓方法まで、その膨大なデータを見ながら米国特有の保険事情の説明を受け、これらに付随する貴重な話を聞くことができました。
「CPCU」ってご存知ですか?
「CPCU」とは、Charterd Property Casualty Underwriterのこと。
日本ではあまり馴染みがなく、私もよく知りませんでしたが、「CPCU」とは、最高峰の保険資格だそうです。日本では、認定損害保険士とも呼ばれています。
米国の保険業界では、多くの人たちがその取得に挑戦しているようですが、結構な難易度で、米国の大手保険会社でも全社員の平均1~2%しか資格者がいないとか。
とにかくそのような優秀な「CPCU」メンバーから、今回研修を受けてきました。
2日目の研修は、ブローカー・代理店・保険会社をいくつか訪問しました。 このパートでは、会社概要、業務内容、米国保険業界のトレンド、最新の営業手法等について、行く先々で質疑応答を交えながら、レクチャーを受けました。
1982年創業で、従業員40名、年間売上高が5百万ドルの保険代理店。
自社独自の最新テクノロジーを活用し、インターネットから猛烈に新規契約を上げて、急成長している保険代理店です。
代理店主の息子さんから、急成長をもたらしているその独自のシステムの概要を説明してもらいました。
米国の大手保険グループMarsh & McLennan Companiesの保険ブローカー Marsh.Ins. を訪問。
ランチセミナーということで、巨大なサンドウィッチとスナック菓子のランチを兼ねたセミナーでした。
若手のCPCU3名から、主に現在取り扱う業務内容について説明を受け、世界の Marsh 相手に質疑応答。担当顧客はすべて巨大企業ばかり。一定規模に満たないボリュームの契約は一切取り扱わないという営業スタイルで、その取扱い規模・保険料ともケタ違いでした。
今回PIASでお世話になったCPCUゴールデンゲート支部の支部長は、保険会社Allianzの社員でした。彼の案内のもと、彼の所属するAllianz社を職場訪問させてもらいました。
この日の最後は、今日まで研修でお世話になったCPCUメンバーの面々が一堂に会し、カリフォルニアワインを片手にワインバーで交流。 自分の片言の英語力が少々残念に思いました(笑)が、皆さんとてもフレンドリーに話しかけてくれました。
研修3日目は、前日に引き続いて代理店・保険会社を訪問しました。
早いもので今日はPIAS研修プログラムの最終日です。
全米でも上位の保険会社であるFarmers。その北カリフォルニア支社を訪問しました。
Farmers社員の方から、米国における保険会社と代理店との関係や、米国保険市場のトレンド等をFarmersの視点でレクチャーしてもらいました。
Farmers訪問の後は、そこからほど近い郊外にあるFarmers専属専業代理店を訪問。
米国の保険代理店の実務や最新のトレンドについて、代理店主から説明を受けました。
ブローカー・代理店・保険会社、どこへ行っても感じるのは、日本以上にペーパーレス化の徹底がされていること。そして、オフィスで電話が全然鳴らないことにびっくりしました。インターネットとメールだけで、ビジネスがほぼ成り立っているのでしょう。
PIASの研修全過程が一通り終了すると、PIAS卒業式の会場へ向かいました。
CPCUゴールデンゲート支部からPIAS修了証をもらい記念撮影です。
卒業式終了後の最後の最後は、研修すべてを終えての質問コーナー。質疑応答に対応してくれるのは、訪米初日のオリエンテーションでお世話になったTokio Marine Americaの社員の方。PIAS研修中を通じて疑問に思ったたくさんの質問を、分かりやすく丁寧に回答してくれました。
PIASの研修プログラムは、質・量ともにかなり充実した内容で、想像以上に中身の濃いものでした。
なかでもCPCUという最高峰の保険資格をもつ優秀な講師陣から、米国の保険事情のみならず、これから保険業界が向かうべきビジネスの方向性といったような話が聞けたことは貴重な経験でした。
そして、情熱をもって真剣に取り組む米国保険業界の皆さんの仕事ぶりに対して敬意を表するとともに、同業者としてとても良い刺激を受けてきました。
滞在中の週末には、サンフランシスコ周辺を巡ったことも楽しい思い出です。
最後に、今回のPIASの研修にあたり、企画いただいた主催者及び現地関係者、そしてお世話になった参加者の皆様に感謝いたします。
2017(平成29)年8月
<守田 一成>